バリに戻ってきた男 - sisodwa
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バリに戻ってきた男

スンバ島からの帰り、デンパサールというバリの首都に戻る前、アタシは2日だけクタビーチという観光地に立ち寄った。

地元の人にたずねて、その辺で一番安い宿を教えてもらう。


大きなお寺が敷地内にあるその家 兼 宿はインドネシア人を対象にしているらしく、アタシをのぞいては全員インドネシア人の長期滞在者だった。


リビングにはバリヒンドゥー独特の大きな大理石でできたフロア。
暑いバリの気候では、このひんやり大理石の上にゴロリと横になるのが気持ちいい。


クタの真ん中にあるその大きな家はとてもセンスが良く、清潔で居心地が良かった。
個人的にクタはあまり好きではなかったけど、その宿は今でも気に入っている。


そこの宿のオーナーは"ゴッドフリー"と言った。



彼は50歳くらいの男で、真っ黒のサングラスをかけていた。

左足がなかった。

そして彼はとても流暢な英語を話した。



それもそのはず、彼はオーストラリアやアメリカで昔、サーフィンブランドの貿易をしていたそうだった。

当時の話を彼はイキイキと興奮しながら話した。



インドネシアの島々を渡って、オーストラリアのダーウィンという北部の町にボートで不法入国して始まったオーストラリアでの人生のこと。


オーストラリア人の奥さんをもらったこと。


オーストラリアの小さな島に家を買って、いろんな国籍の人とサーフィンをしながら夢のような毎日を過ごしたこと。


ビジネスがうまくいって、たくさんのお金が入ってきてアメリカへ渡ったこと。




アイディアと行動力に溢れる青年だったんだろう、彼の人生は実にいろんなことが起きていた。
滞在中にもたくさんアタシにビジネスのアイディアをくれた。





そんな彼に


「どうしてバリに帰ってきたの?」


と聞いてみた。





彼は今までの興奮した口調より落ち着いた口調で、「父親のこの家を継ぐため」だと言った。


そして「自分にとってバリが一番なんだ」と言った。



そして彼はオーストラリアやアメリカにいた当時の自分を違う意味で語りだした。

彼の初めの奥さんは白人のオーストラリア人だったそう。

彼女とは文化の違いや若さがあって、お互いを尊敬できずに別れてしまった。

ヒンドゥー教徒の彼はオーストアリアやアメリカで神の存在を忘れてしまった。

ビジネスには成功したけど、インドネシアを離れた新しい世界での成功は自分をどんどんワガママな人間に変えていったそう。


しまいには自分で自分の食べている物までコントロールできなくなり好きな物ばかり食べていたら糖尿病になってしまった。


インドネシアでは糖尿病はまだまだ贅沢病。


しかも気がついた時には重度の糖尿病で、左足が壊疽(足が腐ってしまう状態)になり、切断しなければならなかった。

目も弱くなり、サングラスがかかせない。




足がなくなって彼は本当の意味で何が人生に大切なのかを悟ったそう。

「左足は驕り高ぶっていた自分の目を醒ましてくれるために、神様が持っていったんだ」

彼はそう言った。

それを聞いてアタシはなんだか嬉しくなった。



彼の家でバリ人の奥さんとその間にできた子供と暮らす彼の姿は幸せそうだった。




彼の家のひんやりとした大理石の上にゴロリと横になって、アタシたちはいろんなコトを話した。



バリの文化のこと。お金のこと。近代化のこと。先祖のこと。本当の幸せ。



バリでは日本やオーストラリアやアメリカに渡って仕事を経験した人と話すチャンスが結構あった。

発展途上国で生まれ育った人間が先進国へ出るというのは、アタシとは全く逆のケースだった。





そんな中で賢いインドネシア人はたくさんのコトを学んでいた。



そんな彼らが学んだ経験がアタシに教訓をくれる。


彼らの目から見る先進国は、育ったアタシたちの目から見るのとは全く違った。



ゴッドフリーはお金を持って華々しい毎日を送っていたように思われたあの頃より今のほうが充実していると言った。


でもそれはいろんな場面を見てきた彼だから言える一言なんだと思う。

今もクタビーチには日本やオーストラリアへ憧れる若者がたくさんいる。



たくさん回り道をしても、たくさん一見無駄そうに思われる時間を過ごしても、たくさんの人が羨ましく思わなくても、生きてるうちに本当の幸せに気がつけたらいいなぁ、と思った。


片足失くして、「今が一番幸せ」だと言える彼がかっこよかった。





彼の人生に学ぶことはたくさんある。



そんないろんな人の人生に学びながら、昨日、三十路の仲間入りをしました。



"30歳"ってやっぱり節目。

"30歳"相応の考えと、振る舞いをしたいなぁ、と思った。



ただ365日×30回 時間を過ごしただけになりたくないなぁ、と。

まだまだ回り道したり、ジタバタしたりするけどね。



行き着く先にアタシなりの幸せが待っていると信じてジタバタするのみだ。



誕生日の日に・・・・

若松の海を見に、超スウィートなデートに連れ出してくれた友人に感謝。

ちょっとオシャレして家族でおいしいおいしいご馳走を食べにいけたことに感謝。

たくさんの友達からの愛のこもったメールにも感謝。


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