メディアで伝えない南アフリカが真の独立を遂げてない理由《フリーダムデーに》 - sisodwa
sisodwa2017tittle.jpg
MENU


暮らしのエッセイ

メディアで伝えない南アフリカが真の独立を遂げてない理由《フリーダムデーに》

 4月27日、南アフリカは「Freedom Day」だった。とうことで、今日は一般的にはメディアでは伝えない南アフリカの独立の話をしてみようと思う。

 現在ほとんどのアフリカ諸国は旧植民地であるイギリス、フランス、ポルトガル、ドイツ、オランダなどから政治的に独立を成した。南アフリカはその中でも一番最後1994年に独立した国である。金、ダイアモンド、ウラン、鉄鉱石、 石炭、銅、などの膨大な資源と、温暖な気候で白人の農業が盛んなことから、なかなか独立をすることが難しかったのである。

1990-02-13-southafricasowetomandelafreedomrally.jpg

 アパルトヘイト制度(人種隔離制度・政策)が1991年に撤廃となり、1994年、先住民である黒人に選挙権が与えられ、ネルソン・マンデラ氏が初めて大統領に当選し、政権が先住民に渡った。

 驚くことに南アフリカの人口は8割が先住民である黒人、1割が白人、残りがカラード(混血種)やインド人である。ということは、たった1割である白人種が9割の人種を支配していたのである。

 マンデラ氏が大統領になったことで、南アフリカの有色人種は解放された、南アフリカは独立したと祝った。世界中の平和活動家、黒人ミュージシャン、宗教活動家、黒人映画俳優などがこぞって喜んだ。

 アパルトヘイト政策は23年前に終止符を打った。たった23年前である。私が中学生の頃、歴史の時間で南アフリカはまだアパルトヘイト時代だと習ったことを思い出した。

 南アフリカが黒人政権になり、みんなが「独立」と呼び、なぜかみんな当然のように独立、独立と言っているが、本当にこの国は独立を成したのであろうか?

997aac26df18b4b6236a76dde1c0e6e7.jpg


 もし真の独立を成し遂げたのであれば、国の土地の所有は黒人にあるはずである。しかしマンデラ氏率いる政党ANCとデクラーク政権(白人政権最後の大統領)の決め事の中に「農場主をはじめとする白人を疎外しない」とうものがあった。そのため、現在も南アフリカの大半の土地は白人が所有している。そしてダイヤモンドや金、鉄鉱石などの資源も白人が所有しているのが現状だ。さらに現代は資本主義の時代だ。当然資本家には白人が多く、有色民族はその元で安い給料で重労働を強いられていることが多い現実がある。世界で一番ダイアモンドが採れる南アフリカであるが、今も掘っているのは先住民であり、所有しているのは、白人、そして輸入して身につけているのは欧米や日本などの先進国の住民である。


 総合的に見てみると政権が黒人に変わったことと、アフリカ人が自由に道を歩けるようになったとか、「白人専用」のものが町から消えたこと(トイレ、ベンチ、ビーチなどあらゆるものが分けられていた)など、基本的な人権が得られたことくらいで、一番大きな土地などの所有権の問題は未だに先住民が口出しをしてはいけないだ。

608656977_pic1_full.jpeg


 そもそも世界中の国々が「独立」と呼ぶのは植民地からの独立を指すことが多い。世界中の国々はヨーロッパの植民地であったので、植民地支配されている国々は白人が指示したものを生産して、ヨーロッパに輸出していた。といっても先住民は“労働力”として奴隷扱いであった。
そんなことが全世界で起こっていたのである。いや、実はこれは過去形ではなく、現在進行形なのである。事実上「植民地」という言葉は衰退したが、やっていることをみると植民地と同じではないだろうか。

English template_clip_image004_0000

 南アフリカは白人が侵略するためにこの地に辿り着くまで、王国制であった。現在は一つの国、南アフリカ共和国だが、本来はそれぞれの地にコサ王とかズール王とかの王様がたくさんいて、その下に同じ民族が属していた。しかし侵略戦争の中、王は全て殺されてしまった。そして白人政権が誕生し、今のような政治システムが南アフリカを統治した。

 私は植民地支配されていた国が今も独立しきれないのには、この政治システムにあると思っている。この「政治システム」というのは先進国、もっというならば欧米に都合の良いようにできているシステムである。であるから、独立後に黒人がそのシステムに入れ替わったとしても、全ての資源はヨーロッパへ流れていくシステムになっているのである。

English template_clip_image005_0000


 これは極論になるが、先住民の真の独立を成すのであれば、土地も資源も先住民に返還されるべきである。そして政治のあり方も、王制のように先住民式で行われるべきである。それが本当の独立ではないだろうか。しかし、それを遂げた南アフリカの隣接国ジンバブウェだが、見事に欧米からの経済制裁に合い、国際社会での地位を失ってしまった。そしてメディアがさもムガベ大統領が独裁者であるかのように世界に伝えている。この事実からアフリカ諸国が欧米に盾を突くことは、非常に困難なことであり、それは日本にも言えることである。

 冒頭で述べたように、南アフリカは1割の白人に支配されるということが、国内で実際に起こった国である。そして世界史をみると白人が世界を植民地支配していた時代がある。今もオーストラリアやニュージーランド、カナダ、アメリカなどは先住民を迫害したままである。アメリカの独立もおかしな話である。実は私たちは多少形を変えているとしても、今も同じような哲学がまかり通った時代に暮らしていると言えないだろうか。

 私の持論の中に“アフリカを救えるのはアフリカ人だけだ。アフリカを解放できるのはアフリカ人だけだ”というものがある。アフリカはその資源の豊かさから、貪欲な者たちの食い物にされてきた。今もそれに変わりはない。私はアフリカ人ではないけれど、私はアフリカ人の母である。息子サナと娘ンペポはアフリカ人だ。 二人にはアフリカ人として誇りを持ってもらいたいと思う。私が心から愛してやまないアフリカ。私には伝えることしかできないけど・・・・。

June16-3-768x588.jpg


Free Africa! アフリカに自由を! 

Love Africa! アフリカに愛を!

Bless Africa! アフリカにご加護を!

アフリカに真の自由が訪れることをFreedom Dayに祈ります。


参照サイト:http://www.diplo.jp/articles03/0309-5.html


スポンサーリンク



6 Comments

通りすがり says..."先住民とは誰か?"
コサ族、ズールー族等のングニ系に属する民族は、現在の西アフリカから南下してこの地に定着したとされる説が有力です。ングニ系の民族が現在の南アに定着する過程で、いわゆるコイサンは土地を追われました。先住民に主権を戻すという主張に則ると、南アはコイサンの末裔によって統治されるべきとなります。

また、オランダ東インド会社によって労働力として南アに連れてこられたマレー系の人々はどうなるでしょうか。この人々も白人の武力による支配の被害者ですが、土着の人々ではないという理由で「先住民に主権を」とする場合に、主権を保有すべき対象からは外れるでしょうか。

このように「元々の先住民に全てを返すべき」との議論は、「元々」の時間軸と「先住民」の定義が非常に難しいものです。加えて、現在のグローバル資本主義の中で1ヵ国のみが「もう一つの世界」を生きることは、アパルトヘイト撤廃の背景に経済制裁に伴う疲弊であったことから判るように、現実的に非常に困難です。

ズマ大統領が昨今しきりに口にするRadical Economic Transformationは耳障りのいい言葉ですが、現実に即した対応が必要と思われます。
2017.05.05 23:27 | URL | #- [edit]
バンベニ桃 says..."Re:先住民とは誰か"
コメントありがとうございます!

>このように「元々の先住民に全てを返すべき」との議論は、「元々」の時間軸と「先住民」の定義が非常に難しいものです。加えて、現在のグローバル資本主義の中で1ヵ国のみが「もう一つの世界」を生きることは、アパルトヘイト撤廃の背景に経済制裁に伴う疲弊であったことから判るように、現実的に非常に困難です。

私もそう思います。本文でも述べさせていただいたように、欧米になかなか盾を突けないのが、今の国際社会ではないでしょうか。やはり「元々の先住民に全てを返還するべき」というの極論でしたね。

南アフリカのような多国籍はもちろん先住民以外の民族も権利をしっかり持っていると思っています。私が特筆したかったのは、一つの民族によって土地も資源も支配されているのは、今も支配下にあることを表しているというところです。アパルトヘイトは撤廃されましたが、23年経った今も日常のあらゆる場で感じることができます。
このような深い傷跡を残した民族が、今もこの国の支配を続けることに疑問を持っています。

「先住民」という定義も難しいですね。しかし私はそもそも”国境”という概念が植民地時代のものだと思うので、それがコサ族であってもズール族であってもコイサンであっても南部アフリカの先住民だと思っています。ングニ族は代表的なアフリカの先住民です。

それに加えて白人が南アフリカに入植した時に、この地で暮らしていた民族という意味でも、コサ族もズール族も先住民と言えると思います。またングニ族が中部アフリカから来ているということを主張すると、アフリカ全土に広がるングニ系アフリカ人全てはその地の先住民ではなくなる、ということになり、そう定義するのも難しいといえそうです。

現にコイサン(といってもコイとサンではまったく違う民族ですが)とズール族とコサ族は民族間の争いがあったとしても、お互いを支配するわけではなく、同じ南アフリカの中で一緒に暮らしていた民族です。コサ族はングニ属の中でも特にコイサンに言語、シャーマニズム、ダンスなどの影響を受けているし、コイサンのような容姿のコサ族が結構います。

私は南アフリカの政治は国際社会の縮図のような気がしてなりません。負の歴史を乗り越えるには、貪欲な人たちが利権を手放す必要があると思っています。

貴重なご意見どうもありがとうございました!
これに懲りず、またブログを閲覧していただけると幸いです!

2017.05.06 19:36 | URL | #- [edit]
すしまる says...""
とても考えさせられる内容の記事でした。私は短期で南アを訪問した事があるだけなのでバンベニ桃さんの様に現地に精通していませんが、現地人とお話して感じた事を記載させて頂きます。

「1994年に南アは独立」とありましたが、実際1994年まで支配する人種が異なるだけでれっきとしたアフリカの一国家であったと思います。アパルトヘイトと言う国家犯罪がありましたが、主権を握っていたのはヨーロッパでは無く、白いアフリカ人、すなわちアフリカーナーの人達でした。アフリカーナーは自分達をアフリカ人としてみなしていますし、彼らは一応17世紀から移住してきてイギリスやズールーと戦った歴史のある民族ですし、何百年も代々に渡ってこのアフリカの大地に住み着いています。確かにコーサやズールーと比べるとより新しい入植者でありますが、単に白人だからと部外者にするのもどうかな、と思う所があります。確かに、現在でも国の富を多く握っているのは白人である事は否定できず人種間で格差が明らかですが、彼らにとっても地元として生きる権利はありますし、今ではアフリカーナーがホームレスになって都市部の公園にバラックを建てて暮らす人々も居ます。政治的に力が無い彼らの方が同じ状況に暮らす黒人の方々よりも悲惨だと思います。アメリカやオーストラリア、カナダ等と比較されても南アの場合は状況が異なり、白人が政権を持っておらず、少なくても政治的判断は黒人にあり、白人農家襲撃を促進する政治家が居るぐらいなので十分に自由を勝ち取っているのは無いでしょうか。

付けたしで触れますと、この様な「まだ真の独立を果たしていない」と言う考えがジンバブエの繰り返しになり、白人農家を襲撃して国の経済が崩壊するのでは無いのかと考えます。

私の意見も偏っているかもしれませんが、もしかしたらトランスカイや旧ホームランドにお住まいの方々と接する機会があればバンベニ桃さんのご意見にもっと賛成できるのかもしれません。
2017.05.07 01:20 | URL | #- [edit]
バンベニ桃 says...""
コメントありがとうございます。
南アフリカで人種問題は一番大きな問題と言えますね。

すしまるさんがおっしゃったようにアメリカとニュージーランド、オーストラリアなどと南アフリカは同じではありません。しかし全く違うものでもないのです。入植の仕方は同じ支配から始まっています。土地を獲得し、金などの資源やを発掘する目的も同じです。アメリカにおいてはネイティブインディアンは大量殺戮に合いました。南アフリカも同じく、たくさんの有色人種がアパルトヘイト時代に殺戮されました。しかもインド人やアフリカ人は奴隷として世界中に広がっていきます。

その植民地化のアイディアの中では世界中の先住民の人権など動物と同じ扱いです。そんな時代が何百年も続いたのです。しかしそんな時代は終わりました。だからその思想が当たり前のように今も蔓延っている時代をとても問題だと思っています。

もちろん私はすべての人間に平等の権利が与えられていると信じています。もちろん欧米人、ないしは世界中に移住した白人にも平等の権利があると思っています。

そして私は人間はどこへ移住することも自由だと信じているので、ヨーロッパ人が世界中に移住することに反対しているわけではありません。

問題はその仕方にあると思います。
私には世界を旅した経験があり、(アメリカ大陸は行ったことないですが)その時に貧困問題や人種問題を目の当たりにしました。そしてそれが植民地支配時代に植え付けられたものだと実感しました。白人は部外者ではありません。彼らが産み出した社会システムが今の南アフリカの混乱の根源なのです。

私は平等の権利なくして、南アに真の自由は訪れないと思っています。そして平等の権利をなくしては、世界平和も訪れないと思います。その平等の権利を掲げ、もしそれが経済制裁に合うことになるというのは、そのシステム自体に問題があるのではないかと考えます。

私たちは第一世界も第三世界もない、みんな同じ世界に暮らすことができると信じています。それができないようなシステムに疑問を持つことは大切だと思います。現代の国際社会では先住民の権利があまりにも蔑ろにされています。

とは言え、この手の問題はすしまるさんのおっしゃったとおりバイオレンスに発展しやすい問題です。平和的に解決する必要があります。

大変貴重なご意見、ありがとうございました。
2017.05.08 17:01 | URL | #mtHUKwEs [edit]
すしまる says...""
バンベニ桃さん、ご返信をありがとうございました。大変参考になりました。長年人種差別によって抑圧されていたためにある現在の混乱は強く感じる事ですね。南アの人種別経済格差では痛いものがありますが、少なくても若い世代にはまだ希望があると感じさせられました。一応教育も無料(と聞きましたが)で平等だし、英語教育もされ、親が体験できなかった事を子供達は体験できている。教育によって、10年後はもっと格差が縮まる事を願います。
2017.05.09 01:25 | URL | #- [edit]
バンベニ桃 says...""
そうですね。何事にしても体制を変えるには時間がかかるものです。無理やりに変えようとすると摩擦が起こり、暴動などのバイオレンスに発展するのかもしれません。徐々に日々の暮らしの中で平等の権利を獲得していく必要があります。ありがとうございました。
2017.05.10 18:19 | URL | #- [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://sisodwa.blog22.fc2.com/tb.php/518-0d016b6c
該当の記事は見つかりませんでした。